2023年5月18日木曜日

230519 台湾製IC PT2399(MN3005 BBD後継)を使ったステレオ音源が広がって聞こえるサラウンド・エフェクターの製作 再生音サンプル動画

こんにちはHousukeです。


前回「230428 カットオフ周波数可変 24db/oct. LPFを使ったキッチン用サブ...」でお話をしたステレオ音源が広がって聞こえるエフェクターを製作したのでご紹介します。

🐧CD73のサラウンドもどき🐧
 BMW CD73 
5、6年前にアルバイトで修理したことのあるBMWのカーオーディオヘッドユニットCD73です。CD73にはサラウンドのような機能があって、そのモードをオンにするとステレオなのに再生音がスピーカーの外側に広がって聞こえました。
前回、ステレオ音源が広がって聞こえるエフェクターを作る、と予告をしてみたものの、これといったアイデアが出てきません。方向性はちょっと違いますが、CD73のサラウンドもどきをAmazonで入手したディレイ基板で作ってみました。

🐧Amazonで入手したディレイ基板🐧
 elfin203 ディレイ基板 PT2399
560円 配送料185
基板は中華製ですが、IC PT2399は台湾製で75'年頃に松下電器/旧Panasonicから発売されたBBD(Bucket Brigade Device)の後継品です。
前の別のブログ220920 ステレオ音源用のサラウンドアンプ…でご紹介しましたのでよろしければご覧ください。


🐧回路・機能🐧
  • ステレオ音源を一旦モノラルにして、PT2399ディレイ基板×2段に通し残響成分に加工して、元のステレオ音源に合成(ミキシング)します。その合成をするときに、ステレオの片方のCHの位相をOPアンプで反転しました。(音場が広がる効果を狙いました。)

  • 軽やかな響きにするために、230Hz LCF 6db/oct.回路を入れて低音域をカットしました。

  • 出力は原音残響、と残響のみの 2通りを選べるようにSWを付けました。

  • スピーカーも鳴らせるように、USBアンプを追加しました。

🐧基板実装図🐧
ーMixing側ー
ーDelay側ー
点線で基板の不要部分をカットしています。
ー作成用裏表図ー

🐧組立て🐧
ケースは定番の百均セリア 蓋付きアクリルケースを使いました。ミニドリルで穴あけが出来て、失敗しても気持ちがヘコまないので気に入っています。

ー上ー

ー前ー

ー裏ー

ー後ー

🐧調整🐧
PT2399ディレイ基板は残響の深さ(帰還量)を調整するVOLの他に、clock(遅延時間)を調整する半固定抵抗を後付け出来ます。
今回は、1段目はオリジナルのままで、2段目に clockを調整する半固定抵抗 50KΩBを後付けしました。

= ディレイ時間 =
1段目:約100ms
2段目:約15ms
時間を正確に計測する手段が手元にないので、感覚による数値です😋。

高性能なオシロではないので、2段目の動作をやっと捉えた時の画像です。
BBDで残響を生成する動作原理が、音響装置としては忌み嫌われる定在波(フラッターエコー)なので、この定在波がなく自然な残響として聞こえるように、残響の深さ(帰還量)・clockを調整します。

= 再生音サンプル動画 =
Windows の"サウンドレコーダー"で収録して、再生音サンプル動画にしました。
Youtubeの心電図音を模したパルス音があったので、音源に使いました。

≣リバーブなし(パルス音源のみ)≣

≣パルス音源+リバーブ≣
(録音の音量レベルをミスりました。
テスト用ダミーBOXを作る予定なので、その時に再録します😔。)

🐧試聴🐧
音場が広がる効果を狙って、残響成分(モノラル化後)を片方のチャンネルを逆相にしてステレオ回路に返す方法にしましたが、狙い通りLRいっぱいに広がりました。
サラウンドとして使うときは、残響成分が原音に対して 5~10%くらいになるように調整しました。

ただ、お手本にしたBMW CD73のサラウンドは原音の位相や時間を加工して、音場の広がり感を作っているようです。予想はしていましたが、これを残響だけで真似するには少々無理がありました😅。


🐧リバーブ用のデバイス🐧
デジタル処理でサラウンドが出来るものがないか、リバーブ デジタルといったワードでググっていたら次のデバイスが見つかりました。
ーBTDR-3H(accutronics Digi-Log™)ー
スプリング式リバーブと互換性のあるDSPユニットと紹介されています。
スプリング式リバーブは '60年頃ハモンドオルガンのメーカーが世に出したものだそうです。
フジシマカスタムギターYahoo!店(取寄せ5,000円前後)や海外通販で売っています。
大きさが32㎜×38㎜とCPUやメモリの入る大きさではないので、DSPではなく、どうやらPT2399と同じ類のBBDのようです。
BBDは動作はデジタルチックですが、サンプリングしたデータがアナログなので、DSPというには無理があります。
いま興味があるのは音質劣化のないデジタルなのですが、と言いながら、老舗のエフェクターメーカーなのと2~2.85秒の遅延性能には、なんだか試してみたい気持ちもあります。
このユニットのステレオ用の推奨回路は、ステレオを一旦モノラルにして残響処理後、LRに足し込むところは、本ブログの回路と同じです。
出力がOUT1、OUT2の2系統あるので、それでステレオの広がりを再現しているようです。

他のパーツやネタも含めて検討中です。また進展があれば、本記事の続きでご紹介したいと思います。


=追記=
前述のBTDR-3を使った記事が出来ましたのでよろしければご覧ください。
⇒『230911 Belton accutronics Digi-Log リバーブモジュールBTDR-3 を使ったサラウンド・エフェクターの製作


🎲 メモ 🎲
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